1. バンドパスフィルター
1.1 方式
CWのディコーダを作成するため、オーディオ信号からMCUのA/Dへ入力するためのバンドパスフィルターアンプを製作してみる。
CWの受信音の周波数帯域は 600Hz〜800Hz付近のため、設計では700Hzとする。
バンドパスフィルターの方式は多重帰還型BPF(バンドパスフィルタ)を使用します。
多重帰還型BPF(バンドパスフィルタ)はオペアンプを用いたアクティブフィルタの一種であり、特定の周波数帯域だけを通過させ、それ以外の周波数を遮断する回路です。
英語では MFB(Multiple Feedback) と呼ばれ、非常によく使われる代表的な方式です。
メリット
デメリット
他のバンドパスとの比較
CWの受信音の周波数帯域は 600Hz〜800Hz付近のため、設計では700Hzとする。
バンドパスフィルターの方式は多重帰還型BPF(バンドパスフィルタ)を使用します。
多重帰還型BPF(バンドパスフィルタ)はオペアンプを用いたアクティブフィルタの一種であり、特定の周波数帯域だけを通過させ、それ以外の周波数を遮断する回路です。
英語では MFB(Multiple Feedback) と呼ばれ、非常によく使われる代表的な方式です。
メリット
部品数が少なく、簡単に作れる:オペアンプ1個に対して、抵抗3個、コンデンサ2個の最小限の構成(2次フィルタの場合)で設計できます。
直流(DC)カットが容易:回路の構造上、入力側にコンデンサが入るため、前段の直流成分を遮断して次のステージへ縦続接続(カスケード接続)しやすいメリットがあります。
高域特性が安定している:サレンキー型BPFと比較して、オペアンプの性能限界(高周波でのインピーダンス上昇など)による高周波域での漏れ(特性悪化)が少ないとされています。
直流(DC)カットが容易:回路の構造上、入力側にコンデンサが入るため、前段の直流成分を遮断して次のステージへ縦続接続(カスケード接続)しやすいメリットがあります。
高域特性が安定している:サレンキー型BPFと比較して、オペアンプの性能限界(高周波でのインピーダンス上昇など)による高周波域での漏れ(特性悪化)が少ないとされています。
デメリット
高いQ値(鋭さ)を設定しにくい:Q値(フィルタの選択度・シャープさ)を高くしすぎると、素子のバラつきに非常に敏感になり、回路の動作が不安定になります。
一般的にQ値は10〜20程度、高くても100未満の実用範囲で使用されます。
反転増幅が基本:オペアンプの反転入力(マイナス端子)に信号を入力する構成のため、通過帯域での出力信号の位相が反転します。
一般的にQ値は10〜20程度、高くても100未満の実用範囲で使用されます。
反転増幅が基本:オペアンプの反転入力(マイナス端子)に信号を入力する構成のため、通過帯域での出力信号の位相が反転します。
他のバンドパスとの比較
回路に求める「鋭さ(Q値)」や「音質・ノイズ性能(S/N比)」によって、他の方式と使い分けられます。
| フィルタ方式 | 構成の難易度 (部品数) | 選択度 (Q値)の限界 | 主な特徴・用途 |
|---|---|---|---|
| 多重帰還型 | 低い (極小) | 〜100程度 (実用は20以下) | 簡単に作れる。一般的なセンサ信号処理や音声処理に最適。 |
| サレンキー型 | 低い | 〜数十程度 | 非反転増幅が可能。高域で信号が漏れやすい弱点がある |
| バイカッド型 | 高い (オペアンプ3〜4個) | 数百まで可能 | ゲインや周波数を独立して精密調整できるが、高周波には不向き。 |
| 状態変数型 / フリーゲ型 | 高い (オペアンプ複数) | 数百まで可能 | 非常に安定して鋭い特性を作れるが、回路が複雑。 |
1.2 入出力仕様
今回の回路の入力電圧は P-Pで 600 (mV)
Si4735 で SSB 7MHz の CW 信号を オーディオ出力で測定した結果

MCUの電源電圧は3V
3 / 0.6 = 5
アンプのゲインは最大 5倍あれば良い事になる。
2〜10倍のゲイン調整ができるものを作成する。
Si4735 で SSB 7MHz の CW 信号を オーディオ出力で測定した結果

MCUの電源電圧は3V
3 / 0.6 = 5
アンプのゲインは最大 5倍あれば良い事になる。
2〜10倍のゲイン調整ができるものを作成する。
1.3 回路図
回路図の左側のオペアンプは増幅用で、右が多重帰還型のバンドパスフィルターです。

今回の電源電圧は3.1(V)、またMCUのA/Dに接続するためオペアンプはTVL9062を使用します。
TLV9062(TVL9062は入力ミスとみられます)は、テキサス・インスツルメンツ(Texas Instruments)社製の低電圧・高性能デュアルオペアンプです。
広い帯域幅と低消費電力を両立しており、コスト重視の電子回路設計で非常に広く採用されています。
主な技術仕様と用途は以下の通りです。

今回の電源電圧は3.1(V)、またMCUのA/Dに接続するためオペアンプはTVL9062を使用します。
TLV9062(TVL9062は入力ミスとみられます)は、テキサス・インスツルメンツ(Texas Instruments)社製の低電圧・高性能デュアルオペアンプです。
広い帯域幅と低消費電力を両立しており、コスト重視の電子回路設計で非常に広く採用されています。
主な技術仕様と用途は以下の通りです。
チャンネル数: 2(デュアル回路構成)
帯域幅: 10 MHz(単利得帯域幅)
動作電圧: 1.8V 〜 5.5V の低電圧駆動に対応
入出力特性: Rail-to-Rail入力/出力 (RRIO) に対応し、ダイナミックレンジを最大限に活用可能
静止電流: 1チャンネルあたり標準 538 µA と低消費電力(バッテリー駆動機器に最適)
入力オフセット電圧: 標準 ±0.3 mV と非常に低歪み
ノイズ特性: 10 nV/√Hz(ブロードバンドノイズ)
安定性: ゲイン1(ユニティゲイン)で安定動作し、RFI(無線周波数干渉)およびEMI(電磁波干渉)除去フィルターを内蔵
帯域幅: 10 MHz(単利得帯域幅)
動作電圧: 1.8V 〜 5.5V の低電圧駆動に対応
入出力特性: Rail-to-Rail入力/出力 (RRIO) に対応し、ダイナミックレンジを最大限に活用可能
静止電流: 1チャンネルあたり標準 538 µA と低消費電力(バッテリー駆動機器に最適)
入力オフセット電圧: 標準 ±0.3 mV と非常に低歪み
ノイズ特性: 10 nV/√Hz(ブロードバンドノイズ)
安定性: ゲイン1(ユニティゲイン)で安定動作し、RFI(無線周波数干渉)およびEMI(電磁波干渉)除去フィルターを内蔵
1.4 計算と特性測定
計算式
C = C3 = C4 ( C = 10 / fo (uF)が目安で決定 )

計算値及び測定値
※計算値のA はバンドパスフィルター(回路のUBB)の増幅倍率
測定値の A はアンプを含めた信号比率(dB)です。
バンドパスフィルターの特性

計算値及び測定値
| 設計時のQ | 10 | 20 | 30 | |||||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 計算値 | C3,C4(uF) | 0.1 | 0.1 | 0.1 | ||||||
| R7 (kΩ) | 20 | 47 | 68 | |||||||
| R8 (Ω) | 120 | 56 | 33 | |||||||
| R9 (kΩ) | 39 | 120 | 150 | |||||||
| Q | 9.0 | 23.2 | 33.7 | |||||||
| fo (Hz) | 738 | 614 | 716 | |||||||
| A | 0.98 | 1.28 | 1.10 | |||||||
| 測定値 | fo (Hz) | 628 | 663 | 710 | 658 | 678 | 716 | 653 | 668 | 689 |
| A(dB) | 18.6 | 21.4 | 18.6 | 18.4 | 20.9 | 18.3 | 14.2 | 17.0 | 14.4 | |
測定値の A はアンプを含めた信号比率(dB)です。
バンドパスフィルターの特性
| 目標 Q | 10 | 20 | 30 | |
|---|---|---|---|---|
| 中心 | 周波数 | 663 | 678 | 668 |
| 利得 | 21.4 | 20.9 | 17.0 | |
| -3dB | 利得 | 18.4 | 17.9 | 14.0 |
| 低域周波数 | 625.5 | 654.0 | 651.9 | |
| 高域周波数 | 713.4 | 721.9 | 692.2 | |
| 帯域幅 | 87.9 | 67.9 | 40.3 | |
| 測定による Q | 7.54 | 9.99 | 16.58 | |
| 目標Q=10のボード線図 | Si4735で7MHz CW受信波形 | |
|---|---|---|
![]() | ![]() 入出力は波形が重ならないようアンプの増幅を変更した。 増幅率は約5倍 |
| 目標Q=20のボード線図 | Si4735で7MHz CW受信波形 A部時間軸拡大 | |
|---|---|---|
![]() | ![]() Qが大きくなると切れが悪い(残像が長い)。 Q=10 14.2(ms) Q=20 23.8(ms) Q=30 33.4(ms) |
| 目標Q=30のボード線図0 | Si4735で7MHz CW受信波形 B部時間軸拡大 | |
|---|---|---|
![]() |
![]() |
|
| 入力信号に重なった他の信号に対するCW信号を測定した。 やはりQの高い方が、良い。 入力 300/297 = 1.01 Q=10 1370/540 = 2.54 Q=20 1500/475 = 3.16 Q=30 1500/383 = 3.92 |
1.5 Qが高くなるとどうなる
Qが大きいとなぜ切れが悪くなるのかAIに聞いて見た。
1. 「Q値が大きい」とはどういう状態か?
2. 残像が長くなるメカニズム(時間領域での動き)
3. 数学的な関係(周波数領域と時間領域のトレードオフ)
1. 「Q値が大きい」とはどういう状態か?
Q値(Quality Factor)は、一言でいうと「エネルギーの蓄えやすさ(損失の少なさ)」を表す指標です。
(1)Q値が小さい(帯域が広い):
(2)Q値が大きい(帯域が狭い):
内部の抵抗などでエネルギーがすぐに消費されるため、入力がなくなるとすぐに出力が止まります。
(2)Q値が大きい(帯域が狭い):
回路が特定の周波数に強く「共振」します。
コンデンサと抵抗の間でエネルギーが効率よく往復し、外に逃げにくいため、一度蓄えられたエネルギーがなかなか減りません。
2. 残像が長くなるメカニズム(時間領域での動き)
フィルタに入力信号が加わると、オペアンプ回路内のコンデンサにエネルギーが蓄えられます。
ここで入力を 急に「ゼロ」にした(信号を切った)瞬間を考えます。
(1)入力が断たれても、回路(コンデンサやオペアンプの帰還ループ)の中には直前まで共振していたエネルギーが残っています。
(2)Q値が大きい回路は、このエネルギーを消費(減衰)させる力が弱いため、自分自身の力でしばらく振動を続けます(これを自由振動やリンギングと呼びます)。
(3)この「自走している振動」が、出力に「残像(じわじわ減衰する波形)」として現れます。
3. 数学的な関係(周波数領域と時間領域のトレードオフ)
フィルタの世界には、「周波数の切れ味を鋭くすると、時間の切れ味が悪くなる」という絶対的なトレードオフがあります。
周波数軸:
つまり、Q値を2倍にすれば、信号が消えるまでの残像の時間(時間的な引きずり)も2倍長くなります。
Q値を大きくすると、特定の周波数だけを急峻(シャープ)に通過させることができます。
時間軸:
急峻にするということは、数式上「時間応答の減衰時定数(τ)」が長くなることを意味します。
具体的には、応答が減衰する時間は Q / f0 (f0)は中心周波数)に比例します。
2 テスト状況






