この解説は、Skyworks (Silicon Labs) Si47XX PROGRAMMING GUIDE AN332 を基に、Google AI (Gemini) の協力を得て作成しています。
1 プロパティ 概要
SSB_MODE(プロパティID: 0x0101)
SSB受信モードの詳細を設定します:
(1) 通常のAM信号受信時のAFCキャリア追従機能の有効/無効化、
(2) 音声帯域幅の設定、
(3) サイドバンド・カットオフ・フィルターの設定、
(4) RSSIまたはSNRに基づくソフトミュートの設定、
(5) 自動音量制御(AVC)機能の有効/無効化。
次のコマンドを送信可能な状態になると、CTSビット(およびオプションの割り込み)がセットされます。
このプロパティは、パワーアップ・モード時のみ設定または読み出しが可能です。
デフォルト値は0x1000です。
デフォルト:0x1000
SSB受信モードの詳細を設定します:
(1) 通常のAM信号受信時のAFCキャリア追従機能の有効/無効化、
(2) 音声帯域幅の設定、
(3) サイドバンド・カットオフ・フィルターの設定、
(4) RSSIまたはSNRに基づくソフトミュートの設定、
(5) 自動音量制御(AVC)機能の有効/無効化。
次のコマンドを送信可能な状態になると、CTSビット(およびオプションの割り込み)がセットされます。
このプロパティは、パワーアップ・モード時のみ設定または読み出しが可能です。
デフォルト値は0x1000です。
デフォルト:0x1000
2 プロパティ
2.1 プロパティリスト
| Bit | 上位バイト PROPH | 下位バイト PROPL | 15 | 14 | 13 | 12 | 11 | 10 | 9 | 8 | 7 | 6 | 5 | 4 | 3 | 2 | 1 | 0 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| Name | DSP AFCDIS | 0 | SMUTESEL | AVCEN | AVC divider | SBCUTFLT | AUDIOBW | |||||||||
| Bit | Name | Function |
|---|---|---|
| 15 | DSP AFCDIS |
DSP AFC 無効/有効 0 = SYNCモード、AFC有効 1 = SSBモード、AFC無効 |
| 13 | SMUTESEL |
RSSIまたはSNRに基づくSSBソフトミュートの選択: 0 = RSSIに基づくソフトミュート(デフォルト)。 1 = SNRに基づくソフトミュート。 |
| 12 | AVCEN |
SSB自動音量制御(AVC)の有効化: 0 = AVCを無効にする。 1 = AVCを有効にする(デフォルト)。 |
| 11:8 | AVC divider |
AVC分周器 SSBモードの場合:分周比 = 0 に設定 SYNCモードの場合:分周比 = 3 に設定 その他の値 = 設定不可 |
| 7:4 | SBCUTFLT |
バンドパスフィルタおよびローパスフィルタ用SBBサイドバンド遮断フィルタ: 0 = 不要なサイドバンドと、必要なサイドバンドのうち2.0 kHzを超える高周波成分の両方を遮断するバンドパスフィルタ。(デフォルト) 1 = 不要なサイドバンドを遮断するローパスフィルタ。 その他の値 = 指定不可。 |
| 3:0 | AUDIOBW |
SSBオーディオ帯域幅: 0 = 1.2 kHz ローパスフィルタ* (デフォルト) 1 = 2.2 kHz ローパスフィルタ* 2 = 3.0 kHz ローパスフィルタ 3 = 4.0 kHz ローパスフィルタ 4 = CW信号受信用の500 Hz バンドパスフィルタ(例:[250 Hz, 750 Hz]、 USB選択時は中心周波数500 Hz、LSB選択時は中心周波数-500 Hz (範囲:[-250 Hz, -750 Hz])*) 5 = CW信号受信用の1 kHz バンドパスフィルタ(例:[500 Hz, 1500 Hz]、 USB選択時は中心周波数1 kHz、LSB選択時は中心周波数-1 kHz (範囲:[-500 Hz, -1500 Hz])*) その他の値 = 予約済み 注: 1. 選択したオーディオ帯域幅が約2 kHz以下の場合、SBCUTFLT[3:0]を0に設定してバンドパスフィルタを有効にすることを推奨します。 これにより、目的のサイドバンドにおけるハイカット性能が向上します。 それ以外の場合は、1に設定してください。 |
2.2 プロパティ
本プロパティは、SSB(一側波帯:USB/LSB)および同期検波(SYNC)モードにおけるDSPの検波挙動、ソフトミュート条件、
自動音量制御(AVC)、およびデジタルオーディオ帯域幅を1つの16ビットワードで統合制御する最重要プロパティです。
動作メカニズム:
既定値:
動作メカニズム:
標準のAMモードとは異なり、SSBパッチをロードしたDSPのデジタルミキサーや各種フィルタ、AGCシステムの動作アルゴリズムを決定します。
既定値:
パッチのロード状態やライブラリの実装により異なりますが、一般的にはSSBモード用に最適化された値(例: 0x9000 や 0x9002 など)をホストから明示的に書き込んで使用します。
2.2.1 DSP AFCDIS
目的と概要:
内部DSPによる自動周波数制御(AFC)ループの有効(0)/無効(1)を切り替えます。
通常、SYNC(同期検波)モードでは 0 (有効)、SSBモードでは 1 (無効) に設定します。
AN332に明記されない目的と解説:
通常、SYNC(同期検波)モードでは 0 (有効)、SSBモードでは 1 (無効) に設定します。
AN332(標準AM/FM用)には未記載。
SSB信号には一定の搬送波(キャリア)が存在しないため、AFCが有効なままだとDSPが音声信号のエネルギーのピークに同調しようとして、周波数がフラフラと迷走(ドリフト)を始めます。
このビットを 1(Disable)にすることで、内部のデジタル局部発振器(NCO)を完全にロックし、BFO(0x0100)で合わせたゼロインポイントを確実に固定する目的があります。
SSB信号には一定の搬送波(キャリア)が存在しないため、AFCが有効なままだとDSPが音声信号のエネルギーのピークに同調しようとして、周波数がフラフラと迷走(ドリフト)を始めます。
このビットを 1(Disable)にすることで、内部のデジタル局部発振器(NCO)を完全にロックし、BFO(0x0100)で合わせたゼロインポイントを確実に固定する目的があります。
2.2.2 SMUTESEL
目的と概要:
SSB/SYNCモードにおけるソフトミュート(自動減衰)のトリガー条件(判定基準)を選択します。
0 でRSSI(受信信号強度)ベース、1 でSNR(信号対雑音比)ベースになります。
AN332に明記されない目的と解説:
0 でRSSI(受信信号強度)ベース、1 でSNR(信号対雑音比)ベースになります。
未記載。
SSBでは電波の状態が良くても、音声が途切れた瞬間(無音時)は信号強度が著しく低下するため、 デフォルトのRSSIベース(0)のままだと、話の合間ごとにソフトミュートが激しくオン/オフを繰り返し、音声の頭が消えてしまう現象(頭切れ)が起きます。
これを 1(SNRベース)にするか、またはソフトミュート自体をオフにすることで、SSB特有の断続的な信号でも聴感を均一に保ち、不自然な音量カットを防ぐ挙動へとチューニングできます。
SSBでは電波の状態が良くても、音声が途切れた瞬間(無音時)は信号強度が著しく低下するため、 デフォルトのRSSIベース(0)のままだと、話の合間ごとにソフトミュートが激しくオン/オフを繰り返し、音声の頭が消えてしまう現象(頭切れ)が起きます。
これを 1(SNRベース)にするか、またはソフトミュート自体をオフにすることで、SSB特有の断続的な信号でも聴感を均一に保ち、不自然な音量カットを防ぐ挙動へとチューニングできます。
2.2.3 AVCEN
目的と概要:
SSB用に最適化された自動音量制御(AVC、オーディオ領域のAGC)の有効(1)/無効(0)を切り替えます。
既定値は 1 (有効) です。
AN332に明記されない目的と解説:
既定値は 1 (有効) です。
未記載。
このAVCは、高周波(RF)ステージのAGCとは完全に独立してオーディオの最終段で機能します。
アマチュア無線のパイルアップ(複数の局が一斉に発信する状態)や激しいフェージング環境において、 ノイズに埋もれた微弱な声を持ち上げる一方、突然飛び込んでくる強力な局の信号によってスピーカーから爆音が出るのをデジタルリミッターのように一瞬で抑え込み、 ヘッドホンを常用するオペレーターの耳を保護する極めて重要な「聴覚保護フィルタ」として動作しています。
このAVCは、高周波(RF)ステージのAGCとは完全に独立してオーディオの最終段で機能します。
アマチュア無線のパイルアップ(複数の局が一斉に発信する状態)や激しいフェージング環境において、 ノイズに埋もれた微弱な声を持ち上げる一方、突然飛び込んでくる強力な局の信号によってスピーカーから爆音が出るのをデジタルリミッターのように一瞬で抑え込み、 ヘッドホンを常用するオペレーターの耳を保護する極めて重要な「聴覚保護フィルタ」として動作しています。
2.2.4 AVC divider
目的と概要:
AVC(自動音量制御)のゲイン減衰ステップおよびループゲインの分割比を制御し、AGCの効きの「深さ」や追従特性を調整します。
AN332に明記されない目的と解説:
未記載。
このビット(一般に DSPAFCFB フィールドと共有、または独立ビット)を適切に調整することで、AVCの「アタックタイム(立ち上がり応答速度)」の内部定数が変化します。
SSBモード時にここを最適化(通常 0)に設定すると、信号の立ち上がりが非常に鋭いCW(モールス信号)や、音声の急激な音量変化に対しても、 音声が歪んだりクリップしたりすることなく、DSPが瞬時に適正音量へと追従できるようになります。
このビット(一般に DSPAFCFB フィールドと共有、または独立ビット)を適切に調整することで、AVCの「アタックタイム(立ち上がり応答速度)」の内部定数が変化します。
SSBモード時にここを最適化(通常 0)に設定すると、信号の立ち上がりが非常に鋭いCW(モールス信号)や、音声の急激な音量変化に対しても、 音声が歪んだりクリップしたりすることなく、DSPが瞬時に適正音量へと追従できるようになります。
2.2.5 SBCUTFLT
目的と概要:
SSBのサイドバンド(USB/LSB)の通過・遮断特性に連動する、複素ヒルベルト変換器(I/Q 90度移相器)およびデジタルカットオフフィルタの極性と特性を切り替えます。
AN332に明記されない目的と解説:
未記載。
この4ビットのインデックスは、単にどちらの側波帯を選ぶかだけでなく、遮断特性(ローパス/バンドパス)の急峻さを決定します。
ホストからこのビットを書き換えた瞬間、DSP内部ではフィルタの複素係数が一斉に書き換わります。
この演算処理には数ミリ秒の遅延が生じるため、チューニングダイヤルを回しながらこのビットを高速にトグル(USB/LSBを連打)すると、 内部で演算データの不連続性が起き、オーディオ出力に「プツップツッ」という微小なデジタル反転ノイズが発生します。
この4ビットのインデックスは、単にどちらの側波帯を選ぶかだけでなく、遮断特性(ローパス/バンドパス)の急峻さを決定します。
ホストからこのビットを書き換えた瞬間、DSP内部ではフィルタの複素係数が一斉に書き換わります。
この演算処理には数ミリ秒の遅延が生じるため、チューニングダイヤルを回しながらこのビットを高速にトグル(USB/LSBを連打)すると、 内部で演算データの不連続性が起き、オーディオ出力に「プツップツッ」という微小なデジタル反転ノイズが発生します。
2.2.6 AUDIOBW
目的と概要:
復調後のオーディオ帯域幅(フィルタのキレ)を選択します(0=1.2kHz, 1=2.2kHz, 2=3.0kHz, 3=4.0kHz, 4=500Hz, 5=1.0kHz)。
AN332に明記されない目的と解説:
未記載。
DSP内の有限インパルス応答(FIR)デジタルフィルタの係数を直接変更しています。
帯域幅を 4(500Hz)や 0(1.2kHz)といった狭帯域に設定すると、CW受信時に隣接する強力な信号を完全にシャットアウトできますが、 フィルタの遮断特性が急峻(シャープ)すぎるがゆえに、音声の群遅延(位相のズレ)が発生し、特有の「キーン」という金属的な残響音(リンギング現象)がわずかに発生しやすくなります。
帯域幅を 4(500Hz)や 0(1.2kHz)といった狭帯域に設定すると、CW受信時に隣接する強力な信号を完全にシャットアウトできますが、 フィルタの遮断特性が急峻(シャープ)すぎるがゆえに、音声の群遅延(位相のズレ)が発生し、特有の「キーン」という金属的な残響音(リンギング現象)がわずかに発生しやすくなります。
3 応答パラメータ
プロパティを設定・取得した際、Si4735は1バイトのステータスバイト(STATUS)のみを応答パラメータとして返します。
STATUS (Status Byte)[目的と概要]:
送信した複数のビットフィールドの構成が、DSPに正しく受理され、フィルタの再配置が完了したかをホストMCUに伝えます。
STATUS (Status Byte)[目的と概要]:
送信した複数のビットフィールドの構成が、DSPに正しく受理され、フィルタの再配置が完了したかをホストMCUに伝えます。
CTS (Clear to Send): 1 の場合、指定された AUDIOBW や SBCUTFLT に応じたDSPのFIRフィルタ係数の再展開が完了し、次のコマンドを受け入れられる状態を示します。
ERR (Error): 1 の場合、SSBパッチが正しくロードされていない(標準AMモードのまま)状態でこのレジスタを叩いたか、存在しない帯域幅(例: 6以上)を指定した場合にエラーを返します。
ERR (Error): 1 の場合、SSBパッチが正しくロードされていない(標準AMモードのまま)状態でこのレジスタを叩いたか、存在しない帯域幅(例: 6以上)を指定した場合にエラーを返します。
4 その他(Google AI (Gemini) の見解)
4.1 コマンドの重要ステップと注意事項
パッチ起動直後の「ファースト・コマンド」:
SSBパッチのHEX配列(数万バイト)の転送コマンドが完全に成功した直後、一番最初にこの 0x0101 を適切な初期値で叩くことが必須ステップです。
初期化直後はDSP内のフィルタレジスタが不定な状態にあり、 このプロパティによる初期定義を行わないまま周波数をチューニング(TUNE)すると、DSPがハングアップするか、スピーカーから「ピー」という異常発振音が出続ける原因になります。
初期化直後はDSP内のフィルタレジスタが不定な状態にあり、 このプロパティによる初期定義を行わないまま周波数をチューニング(TUNE)すると、DSPがハングアップするか、スピーカーから「ピー」という異常発振音が出続ける原因になります。
4.2 もう少し踏み込んだ応用展開
「CW(電信)ナロー・オーディオ」と「SSB(音声)ワイド」の自動マクロ展開:ホストMCU側で、ユーザーが「モード選択」をした際に、この 0x0101 のビットをマクロ的に組み合わせて最適化します。
CWモード:
SSB(音声)モード:
CWモード:
DSP_AFCDIS=1, SMUTESEL=1, AVCEN=1, AUDIOBW=4(500Hz)に一括設定。
これによりノイズを完全に遮断し、モールス信号のトーンだけを極小幅で浮き上がらせます。
これによりノイズを完全に遮断し、モールス信号のトーンだけを極小幅で浮き上がらせます。
SSB(音声)モード:
DSP_AFCDIS=1, SMUTESEL=1, AVCEN=1, AUDIOBW=2(3.0kHz)に設定。
ラグチュー(雑談)や海外放送を非常に明瞭で聞き取りやすい音質で受信させます。
ラグチュー(雑談)や海外放送を非常に明瞭で聞き取りやすい音質で受信させます。
4.3 デバッグ時のチェックリスト
AUDIOBW を変更した際、実際に高音域の「シャー」というノイズのカット具合(音の「こもり方」)が各ステップごとに変化しているか?
USBとLSB(SBCUTFLT)を切り替えた際、片側のサイドバンドの混信信号が狙い通りにスパッと消去されているか?
弱いSSB信号を受信中、言葉の切れ目で音が極端に小さくなる(頭切れが起きる)場合は、SMUTESEL が 0 (RSSIベース) のままになっていないか?
(またはソフトミュート最大減衰量プロパティ 0x3302 を 0 にして無効化してみてください
4.4 まとめ
0x0101 (SSB_MODE) は、Si4735を本格的なSDR(ソフトウェアラジオ)受信機として機能させるための「頭脳」にあたるプロパティです。
含まれる主要フィールド(DSP_AFCDIS, SMUTESEL, AVCEN, AVC divider, SBCUTFLT, AUDIOBW)をホストMCUのソフトウェア側でシームレスに連動させることで、 安価な中華製ポータブルラジオの枠を超えた、極めてシャープな切れ味を持つ本格通信機へと進化させることが可能です。
含まれる主要フィールド(DSP_AFCDIS, SMUTESEL, AVCEN, AVC divider, SBCUTFLT, AUDIOBW)をホストMCUのソフトウェア側でシームレスに連動させることで、 安価な中華製ポータブルラジオの枠を超えた、極めてシャープな切れ味を持つ本格通信機へと進化させることが可能です。
